はじめに
いちごを種から室内で水耕栽培しています。2026年6月7日に種をまき、129日目の10月14日には、花、緑の実、赤くなり始めた実が同じ株に並ぶようになりました。
育て方を調べると、「クラウン」「花房」「ランナー」「EC」など、聞きなれない言葉がたくさん出てきます。この記事では、実際に自分の株を見ながら覚えた用語を、写真といっしょに整理します。一般的な図ではなく、室内の水耕で育っている「よつぼし」の写真です。
正式な用語が分からないと、自分流の呼び方で説明して、間違った情報を伝えてしまうかもしれません。問題や課題が出てきたときも、正式な用語を知っていた方が、より正確に調べられると思っています。
先に結論:いちご栽培の用語早見表
| 用語 | 読み | ひとことで | この記事の写真 |
|---|---|---|---|
| クラウン | — | 株元の、短く詰まった茎。葉・花房・ランナーが出る株の中心 | C株の株元 |
| 葉柄・小葉 | ようへい・しょうよう | 葉の柄と、その先の葉。いちごの葉は通常、小葉が3枚 | — |
| 花芽・花芽分化 | はなめ・かがぶんか | 花のもと/茎の先が花をつくり始めること | — |
| 花房 | かぼう | 花が何個か集まってつく房。実になれば「果房」 | C株の花房 |
| 花托 | かたく | 花の土台。いちごではここがふくらんで、食べる部分になる | A株の花と実 |
| そう果(痩果) | そうか | 実の表面のつぶつぶ。植物学上はこれが果実で、中に種がある | A株の緑の実 |
| ランナー | — | 株から横に伸びるつる。先に新しい株ができる | BX株 |
| 親株・子株・孫株 | — | ランナーを出した株/その先にできた株/子株のランナーの先の株 | BX株 |
| 一季成り・四季成り | いっきなり・しきなり | 主に一定の季節に花と実をつける品種/条件が合えば続けて花と実をつける品種 | — |
| EC | イーシー | 液肥の濃さの目安になる電気の通しやすさ。mS/cm や µS/cm で表す | — |
| TDS(ppm) | — | 水に溶けている物質の総量の目安。多くのテスターではECから換算する | — |
| pH | ピーエイチ | 液の酸性・アルカリ性の度合い | — |
いちごはどんな植物か
いちごはバラ科の多年草です。うまく育てば、同じ株が何年も生きます。
増え方は2通りあります(長野県野菜花き試験場)。
- ランナーで増える(栄養繁殖):親株から伸びたランナーの先に子株ができます。親と同じ性質の株になります。
- 種で増える(種子繁殖):実の表面のつぶつぶ(そう果)の中にある種から育てます。多くの品種は、種から育てると親と違う性質の株がいろいろ出るため、ふつうはランナーで増やします。
自分が育てている「よつぼし」は、種から育てても性質がそろうように作られた「種子繁殖型品種」です。三重県・香川県・千葉県と農研機構が共同で育成しました(三重県の紹介資料)。ただし、よつぼしはF1品種なので、育てた実から採った種で同じ性質が再現できるわけではありません。
一季成りと四季成り:よつぼしは「四季成り性」も持つ
いちごの品種は、花と実をつける時期で大きく分けられます(農研機構「イチゴ属 特性調査マニュアル 第4版」)。
- 一季成り:主に一定の季節に花が咲き、実をつけるタイプです。「一季」は花や実が1個だけという意味ではありません。
- 四季成り:条件が合えば続けて花が咲き、実をつけられるタイプです。一年中、必ず収穫できるという意味ではありません。
一季成りの品種は、日が短く、気温が低くなると花芽をつくりやすくなります(オハイオ州立大学、埼玉県の研究報告)。四季成りは、資料によって「日の長さの影響を受けない」「日が長いと花芽ができやすい」と説明が分かれます。品種や温度条件も合わせて読む必要があります。
よつぼしは、三重県の資料では「長日条件で花芽ができ易い四季成り性も持つ」品種とされています(三重県、農林水産省掲載の手引書)。
自分の株は、LEDで1日12時間(6:00〜18:00)照らし、室温は25℃台後半、たまに30℃になる部屋で、117日目より前に最初の花が咲きました。一季成りの品種が花芽をつくる「短い日・低い気温」とは違う条件です。ただ、花芽分化の正確な時期は記録しておらず、比べる株もないので、「四季成り性だから咲いた」とは言えません。
育て方の資料を読むときは、その資料が一季成りの話か、四季成りの話かを確かめるのがおすすめです。照明時間や温度の考え方が異なることがあります。
株のつくり:クラウン・葉・根
クラウン(株元)

写真:C株の株元を上から(10月14日受付)。たくさんの葉の柄が、中心の1か所から放射状に出ているのが分かります(写真で見える範囲の説明)。
いちごの茎は、株元でとても短く詰まっています。この部分を「クラウン」と呼びます。葉、花房、ランナーが出てくる株の中心です。
水耕では、クラウンを液に沈めないようにします(Cornell大学の湛液式向けランナー増殖資料)。
クラウンの太さは、株の充実度の目安としてよく使われます。よつぼしの業務用の育苗では、花芽をつくらせる前に「クラウン径8mm以上」に育てる、という目標が示されています(農研機構の成果)。自分の株のクラウンの太さは、まだ測っていません。
葉
いちごの葉は、通常、1本の柄(葉柄)の先に、小さな葉(小葉)が3枚ついています。真ん中の1枚を「頂小葉」と呼びます。葉柄のつけ根には「たく葉」という小さな葉のような部分があります(農研機構)。
根

写真:A株の根(10月14日)。ふたの裏のネットポットから根がまとまって下に伸び、底にエアーストーンとチューブが見えます。
水耕では、根が液の中にそのまま伸びます。10月9日に記録したときには、3株とも根が20cmくらいありました(自分の記録による概数)。根に酸素を届けるため、エアーポンプで空気を送っています。
花と花房
花房:花は「房」で出てくる

写真:C株の花房(10月14日受付)。株の中心から花芽が出て、順調に伸びていることを確認しました。1本の茎の先が枝分かれし、つぼみがいくつも集まっています(後半は写真で見える範囲の説明)。
いちごの花は1つずつではなく、何個かが房になって咲きます。これを「花房」、実になったものを「果房」と呼びます。最初に出る花房が「第1花房」、その中で最初に咲く花が「第1番花(一番花)」です(農研機構)。
関連する言葉もまとめておきます。
- 花芽(はなめ・かが):花のもと。
- 花芽分化:茎の先が、葉ではなく花をつくり始めること。外からは見えず、栽培現場では顕微鏡で確かめる方法があります(手引書)。
- 出蕾(しゅつらい):つぼみが外から見えるようになること。
A株では、大きな花房で1か所から何本も花の茎が伸び、そこから花が2〜3個ずつ出ているように見えました(自分の観察)。
花のつくり

写真:A株(10月14日、129日目)。上に白い花、まわりにつぼみ、手前に緑の実が写っています(写真で見える範囲の説明)。
いちごの花は、外側から次の部分でできています。
- がく:花の外側の緑の部分。実になってもヘタとして残ります。
- 花びら(花弁):白い部分。写真の花は5枚です。
- おしべ:まわりの黄色い粒(花粉が出る)。
- めしべ:中心の盛り上がった部分に、小さなめしべがたくさん集まっています。
室内には花粉を運ぶ虫がいないので、自分は新品の耳かきの綿の部分で、花の中心を優しくポンポンするように受粉を試みています。10月14日にも行いましたが、この作業で受粉できたかは未確認です。
実の正体:食べているのは「花の土台」
写真の手前の緑の実を見ると、表面に小さなつぶつぶがびっしりついています。
- 食べている部分は、花の土台(花托)がふくらんだものです。
- 表面のつぶつぶは「そう果(痩果)」と呼ばれ、植物学上はこちらが本当の果実です。1つのめしべから1つのそう果ができ、中に種が1つ入っています。
めしべが受粉・受精し、そう果の中で種が発達する過程は、花托がふくらむことと関係しています。種の発達に伴う植物ホルモンの働きなどが関わり、受粉がうまくいかなかった部分は大きくならず、実の形がいびつになることがあります。ただし、実の形だけで原因を決めつけることはできません。

写真:A株(10月14日)。上は花びらが落ちたあとの花、中央は小さいまま赤く色づき始めた実です(写真で見える範囲の説明)。この実の大きさや形の理由は分かっていません。
この赤い実の受粉日は、正確には覚えていません。水替えなどのときに株が揺れて、花粉がついたのかもしれませんが、あくまで自分の推測です。どのように受粉したかは分かっていません。
ランナーと子株:いちごの増え方を間近で見る

写真:BX株(10月14日)。ネットポットの下から根が伸びています。右に向かって伸びる細い茎がランナーで、親株とつながったままです。
言葉の整理
- ランナー:株から横に伸びるつる。地面を這うように伸び、先に新しい株ができます(長野県)。
- 親株:ランナーを出した株。
- 子株(子苗):ランナーの先にできた株。
- 孫株:子株からさらに伸びたランナーの先にできた株。
専門の資料では、親株に近い順に「1次苗、2次苗、3次苗…」と番号で呼ぶこともあります(埼玉県の研究報告)。この記事では、分かりやすさを優先して、孫株も含めて「子株」と呼んでいます。
自分の株で起きていること
- B株のランナーの先の株(正確には孫株。のちに「BX株」と名づけた)を、ろ過ウールで包んで水につけたところ、約5日で根が出ました。
- A株のランナーの先の株(AX株)は、水につけず容器の隅にぶら下がった状態でも、葉が4枚ほどに育ち、白い根がわずかに出ていました。
- AY株・BY株では、ランナーの先からさらにランナーが伸びています。
- B株はランナーが5〜6本出ていて、ほかの株より小さい印象があります。株の大きさは測っておらず、ランナーとの関係は分かりません。
以上は自分の観察記録です。
ランナーで増やした株は親株と同じ性質を持つクローンです。そのため、親株が持つ病害が子株に伝わることがあります(長野県)。よつぼしは種から育てることで、ランナー増殖で起こる親から子への病害の伝染リスクを避けやすいのが利点です。種からなら病気にならない、という意味ではありません。
よつぼしのランナー増殖には条件があります。香川県が公開している育成4機関の許諾文書では、自家用の栽培向け増殖は条件を守れば無償・手続き不要とされています。増やした苗の第三者への譲渡は有償・無償とも不可で、種苗・ランナー・株の海外持ち出しも禁止です。利用しなかった苗は遅滞なく廃棄し、継続利用する場合も2年に1度以上の種苗更新が必要です。このほか調査への協力等の条件もあるので、増やす前に許諾文書の全文を確認してください(2026-10-15確認)。文書には「自己の農業経営」という表現があり、家庭菜園への具体的な適用は明記されていません。
水耕栽培で出てくる数字の用語
液肥・希釈倍率
自分はハイポニカ液体肥料(A液・B液)を使っています。A液とB液を同じ量ずつ水で薄めて使うタイプで、製造元のページでは、生育段階を問わず使えるとされています(協和)。販売店の商品説明では、水耕栽培は500倍です(商品説明の検索取得本文で確認)。
「希釈倍率」は、液肥をどれくらいの水で薄めるかを表します。ハイポニカの500倍の説明なら、水500mLにA液・B液を各1mLです。自分は以前、水4LにA液・B液を10mLずつ(400倍)で作っていました。500倍より濃い配合ですが、そのときのECの実測値がないため、株にとって濃すぎたかどうかは断定できません。
調べていると「いちごは1,000倍」と書かれた情報もありましたが、製造元・販売店のページでは確かめられなかったので、この記事では管理の目安にしていません。
EC(mS/cm と µS/cm)
ECは、液がどのくらい電気を通しやすいかの値で、液肥の濃さの目安になります。単位に注意が必要です。
- 1 mS/cm(ミリジーメンス毎センチメートル)= 1,000 µS/cm(マイクロジーメンス毎センチメートル)= 1 dS/m
自分のペン型テスターは µS/cm で表示されます。BX株の液は「400」と表示され、これを0.4 mS/cmと記録しました(10月12日)。資料の目安は mS/cm で書かれていることが多いので、桁を読み違えないようにしています。
参考までに、よつぼしを高設の培地で育てる手引書では、定植後の液肥をEC 0.4〜0.5 mS/cmで管理するとされています(農林水産省掲載の手引書)。栽培方法が違うので、家庭の水耕にそのまま当てはまるわけではありません。
TDS(ppm)
TDSは「水に溶けているものの総量」の目安で、テスターではppmで表示されます。ただし多くのテスターはECを測って換算しており、換算係数が機械によって違います。0.5を使う「500スケール」、0.7を使う「700スケール」などがあります。同じ液でもテスターによってppmの数字が変わるので、他の人の数字と比べるなら、ECの単位をそろえる方が比較しやすくなります(Hanna Instrumentsの解説)。
pH
液の酸性・アルカリ性の度合いです。オハイオ州立大学の養液管理資料では、養液のpHは5.5〜6.0を目安にしています。ただし、培地や原水などによって根の周囲のpHは変わるため、すべての環境にそのまま当てはまる値ではありません(2026-10-15、公式ページの検索取得本文で確認)。自分はまだpHを測っていません。
光の用語(参考)
- 日長:1日のうち明るい時間の長さ。自分の株のLED点灯時間は12時間です。
- lux(ルクス):人の目の感じ方に基づく明るさ。
- PPFD・DLI:植物が光合成に使う光の強さと、その1日の合計。LEDの比較にはこちらが向いています(オハイオ州立大学の照明資料)。
まだ分からないこと・これから記録したいこと
- 自分の株がいつ花芽をつくり始めたのか。最初の開花の正確な日も記録していません。
- クラウンの太さ。まだ測ったことがありません。
- 受粉した花が、どのくらいの日数で赤くなるか。
- B株のようにランナーが多い株と、少ない株で、花や実の数に違いが出るか。
- pHの値。
今回は、初心者向けにいちごの生態と用語をまとめました。自分でも振り返るときに、この記事をチェックしていきたいと思います。これからは、より専門的なところにも知識を広げていきたいです。
関連記事
参考資料
資料確認日:2026-10-15。本文未読・検索取得本文での確認は、該当箇所に明記しています。写真の説明のうち「写真で見える範囲」とした部分はAIによる画像所見で、長さや株全体の数を測定したものではありません。
- 農研機構 種苗管理センター「イチゴ属 特性調査マニュアル(第4版)」
- 三重県「種子繁殖型品種『よつぼし』」
- 農林水産省掲載「種子イチゴ『よつぼし』栽培の手引書」
- 農研機構「二次育苗体系による『よつぼし』の促成栽培」
- 長野県野菜花き試験場「イチゴの繁殖形態」
- 埼玉県農業技術研究センター「イチゴ親株の花成誘導による子苗の花芽形成の安定化」
- The Ohio State University, Kubota Lab「Flowering Basics」「Fertigation」「Photosynthetic Lighting」
- Cornell大学「CEA Strawberry Runner Propagation for Deep Water Culture」
- 協和「ハイポニカ液体肥料」
- 香川県「よつぼしの自家用栽培向け増殖に係る許諾手続き」
- Hanna Instruments「EC・TDSの関係」

